Japan Workplace Culture

日本でチームを率いる前に、すでに存在するコミュニケーションの力学を理解する

7月 23, 2026  ·  Timothy

アメリカ人マネージャーがリーダーに選ばれる理由の多くは、結果を出してきた実績にある。チームを作り、問題を解決し、意思決定を下す力を持っているからだ。

しかし、日本に赴任すると、思いもよらなかった問いに直面することが少なくない。

「なぜ誰も会議で懸念を口にしないのか」 「なぜ提案に賛成したはずなのに、後から問題が浮上するのか」 「自分は本当にチームの本心を聞けているのか」 「実際のところ、何が起きているのか」

どれも無理のない疑問だ。ここで陥りやすいのが、こうした課題をすべて「アメリカ人と日本人の文化の違い」で片づけてしまうことだ。

しかし、現実はもう少し複雑だ。

アメリカ人マネージャーが日本の組織に加わるよりずっと前から、コミュニケーションのパターンはすでに存在している。従業員たちはすでに、何を話しても安全か、いつ話すべきか、そもそも発言することにリスクを冒す価値があるのかを学んでいる。

つまり、どのリーダーも、すでに出来上がったコミュニケーション環境に足を踏み入れることになる。最初の課題は、それを変えることではないではなくて、それを理解することだ。

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Global Team Dynamicsプログラムの開発の一環として、日本の職場コミュニケーションに関する研究をレビューしてきた。これは、プログラムを個人的な経験談だけでなく、実際に調査した内容と自らの経験の両方に基づいたものにするためだ。

パーソル総合研究所が全国の従業員6,000人を対象に実施した大規模調査があり、その結果は海外から来るすべてのマネージャーが注目すべきものだ。

従業員の半数以上が、上司との1on1やチーム会議において、自分が本当に考えていることの20%未満しか話せていないと回答した。さらに衝撃的なのは、職場に「本音で話せる相手が一人もいない」と答えた人がほぼ半数に上ったことだ。

この数字に驚くかどうかは人によるだろうが、一つ重要なことを示している。多くのコミュニケーションの課題は、海外からのマネージャーが着任するずっと前から始まっているということだ。

リーダーが見落としがちなギャップ

この調査で最も示唆に富む発見は、従業員と上位役職者の間にある認識のギャップだった。従業員の多くは「オープンに話せていない」と感じている一方で、上位役職者は「組織内のコミュニケーションはすでに健全だ」と考える傾向が強かった。

リーダーは自然と、自分が見聞きしたものでコミュニケーションの状態を判断する。一方、チームメンバーは「何を話しても大丈夫だと感じられるか」でコミュニケーションを経験している。この二つの現実は必ずしも一致せず、一致しないときこそ、何を変えるべきかが見えにくくなる。

調査には出てこない、もう一つの落とし穴

日本でチームを率いる外国人マネージャーにとって、もう一つ見落とされがちな要素が言語だ。私はこれまで、現地チームと外国人マネージャーとの間のやり取りのほぼすべてをアシスタントが担っているケースを数多く見てきた。そうした状況では、アシスタントの仕事は言葉を訳すだけでなく、意図そのものを訳すことでもあった。

印象に残っている例がある。あるディレクターがミドルマネージャーと1on1を行うたびに、マネージャー側があまりにも丁寧すぎる話し方をしていて、それを間近で見ていたアシスタント自身が「不自然だ」と感じていたケースだ。これは外国人マネージャーが気づかないこともあれば、気づいてもどう対処すべきか分からないこともある種類の力学だ。

リーダーシップは自己認識から始まる

アメリカ人マネージャーが最初に取りがちな行動は、「もっと本音で話してほしい」とチームに促すことだ。その発想自体は理にかなっている。

しかし、従業員が何年もかけて「オープンに話すことは個人的にも職業的にもリスクを伴う」と学んできたのであれば、率直さを促すだけではすぐには対話は変わらない。

効果的なリーダーシップは、すでに存在するコミュニケーションの力学を理解することから始まる。自分のチームは今どこにいるのか。自分のリーダーシップは実際どう受け止められているのか。自分の思い込みは、コミュニケーションを助けているのか、それとも距離を生んでいるのか。そして何より、リーダーとしての意図と、チームの日々の実感との間には、どれほどのギャップがあるのか。

自己認識こそが出発点であり、異文化間のリーダーシップは、そのギャップを率直に見つめることから始まる。

ギャップを埋める

だからといって、アメリカ人マネージャーが自分のリーダーシップスタイルを捨てる必要はない。チームは今でも、リーダーが方向性を示し、意思決定を下し、責任の所在を明確にすることを求めている。それは万国共通だ。

チャンスは別のところにある。最も優れた異文化間のリーダーは、自分を取り巻くコミュニケーション環境をより正確に把握しようとする。ギャップがどこにあるのかを見極め、なぜそのギャップが生まれたのかを理解し、それを少しずつ埋めていくための実践的な戦略を選び取っていく。

だからこそ、「日本でどう適応すべきか」を問う前に、まずこの地にすでに存在するコミュニケーションの力学を理解する必要がある。ギャップが見えて初めて、それを埋めることができるからだ。

出典:パーソル総合研究所 「職場での対話に関する定量調査」 、2024年1月。全国の正規雇用就業者6,000人を対象に実施。

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