10年以上にわたり、日本は政策立案者がしばしば「グローバル人材」と呼ぶ人材の育成に多大な投資を行ってきました。その議論の多くは、英語力に焦点を当てています。前提はシンプルです。英語力が高まれば、国際的な環境での成功につながる、というものです。
しかし、30歳以前に海外赴任を経験した若手日本人プロフェッショナル43名を対象とした最近の調査は、異なる視点を示しています。
「グローバルプロフェッショナルとして成功するために最も重要なコンピテンシーは何か」 という問いに対し、上位に挙がったのは、適応力、柔軟性、主体性、問題解決能力、そしてコミュニケーション能力でした。 英語もリストに登場しましたが、その順位は6位でした。
長年にわたり、私はグローバルな役割に備える多くの日本人マネジャーと共に仕事をしてきました。トレーニングやコーチングのセッションでは、英語力への不安を耳にすることがよくあります。「自分の考えをうまく伝えられない」「語彙が足りない」という声は珍しくありません。「もっと英語ができれば」という言葉は、私が頻繁に聞くフレーズです。
ある程度はそうかもしれません。しかし私はしばしば、彼らが英語力と同じくらい、あるいはそれ以上に、全く異なる文化を持つ相手に対してどのようにコンテキストを伝え、自分のアイデアを説明するかという点に苦労していると感じていました。英語力がボトルネックだと感じている一方で、実際には言語そのものとはほとんど関係のない、前提、期待、思考様式に根ざしたコミュニケーションの壁に繰り返しぶつかっていたのです。
この観察は、同調査のもうひとつの興味深い発見とも深く重なります。
研究者たちは、グローバルコンピテンシーに対する認識が、海外勤務の経験年数によって変化することを明らかにしました。
- 海外赴任の初期段階では、回答者はコミュニケーション、発言すること、そして主体的に動くことを重視していました。
- 数年の海外経験を持つ人たちは、多様性、柔軟性、寛容さ、そして適応力をより強調するようになっていきました。
- 数年の海外経験を持つ人たちは、多様性、柔軟性、寛容さ、そして適応力をより強調するようになっていきました。
これは、多くのプロフェショナルがグローバルな旅の出発点として「どう伝えるか」に注目し、経験を重ねるうちに、「どう理解するか」へと意識が変わり、やがて「いかに適応するか」を学んでいくことを示唆しています。
英語が多くの人の予想より低い順位にとどまった理由のひとつは、ここにあるのかもしれません。国際的な環境での成功には、適切な言葉を見つけること以上のものが必要です。相手がどのように世界を見ているかを理解し、それに合わせてコミュニケーションを調整する力も求められます。
調査ではまた、国際業務への備えとして役立った経験についても尋ねています。最も多く挙げられたのは留学経験でした。回答者が留学の主な成果として強調したのは、英語力の向上ではありませんでした。むしろ、 自信を得たこと、異なるバックグラウンドを持つ人々と交流することへの抵抗感がなくなったこと、そして自分の意見を表現する力を身につけたことを挙げていました。
こうした経験が、慣れない状況や価値観の中で対応する力を育てたのです。
将来のグローバルリーダーを育成する組織にとって、ここには重要な示唆があるかもしれません。
英語は依然として重要なツールです。しかし、すでに国際的な環境で働いた経験を持つプロフェッショナルたちは、適応力、問題解決能力、コミュニケーション能力、そして自分とは異なる前提・経験・視点を持つ人々と効果的に協働する力をより高く評価する傾向があります。
グローバルへの準備は、そうした違いと向き合うことに慣れ、それを超えてコミュニケーションする方法を学ぶところから始まるのかもしれません。
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出典
Kuze, K.(2022). 「グローバル人材」に対する若手駐在員の意識調査 (東洋大学)