Z世代は「働き方」を再考している。私たちはその変化に対応できているだろうか?

日本のZ世代は、成果より年功を重視する傾向にあります。この変化は、従来のエンゲージメントの考え方に再考を促すものかもしれません。


「当社では年功序列ではなく、成果に応じて給与が支払われます」

これは、私がこれまで日本にある外資系企業で担当してきた新入社員向けオリエンテーションの中で何度も伝えてきたフレーズです。しかし今、Z世代はそれを望んでいないのかもしれません。

2025年の「新入社員の会社生活調査」(産業能率大学研究所)), によると、新入社員の56.3%が年功序列による昇進を望んでいると回答しています。これは2006年以来、初めて年功序列志向が主流になったことを意味します。

それだけではありません:

  • 69.4% が「終身雇用」を望む割合となっている
  • 89.2% が同じ会社で「長く勤めたいと思う」と回答
  • 多くの若者が、キャリアのスピードや競争よりも安定と安心を重視していることがわかります

そして 毎日新聞の記事 が次のように報じられていました: 「若者の転職が珍しくない時代となっているが、新入社員の間で日本型雇用の再評価が進んでいる意外な実態が明らかになった。」 

この変化は、厚生労働省が報告している成果主義への流れに逆行しています。そして、外資系企業が日本市場で前提としている考え方にも疑問を投げかけます。 懐かしい「安心感」のある仕組みに戻ることは、ひとつの選択肢かもしれません。ただ、その先に待っているのが「社員のエンゲージメント課題」であることも見逃せません。

私自身が両方のシステムを経験してきました

年功序列型の制度の特徴のひとつが、定期的なジョブローテーションです。これは、社員に幅広い経験を積ませ、組織理解や部門間のコミュニケーションを促すことが目的とされています。 私が勤務していたある日系企業では、このジョブローテーションが毎年行われており、異動の決定は「密室の談合」のような形で進められていました。実際、同僚の一人はこのプロセスを “horse-trading(馬の取引)” と呼んでいました。

異動の時期が近づくと、多くの社員が不安な気持ちを抱えていました。新しい部署にワクワクする人もいれば、やりがいを感じていた仕事から離され、意欲を失ってしまう人もいました。私のチームメンバーの一人は、好きな仕事から外されてからというもの、仕事へのモチベーションが著しく低下しました。それでも彼は定年まで会社に残りました。

一方、外資系企業では「自律性」「能力」「貢献度」がキャリア形成の軸になります。けれども、今の若手にはその価値観が響かないのかもしれません。

エンゲージメントを再定義する必要があるかもしれません

もしZ世代が「安定」や「予測可能性」を重視しているのだとすれば、私たちが持つエンゲージメントのモデルそのものを見直す必要があるかもしれません。チームとの向き合い方や1on1の進め方も、この変化を踏まえて調整していく必要があるでしょう。

社員の“情熱”がエンゲージメントの源とよく言われますが、日本においては、それ以上に「責任感」や「役割を果たすこと」こそがモチベーションの源なのかもしれません。

皆さんの職場ではどうですか?

似たような傾向を感じていますか? 若手社員は、伝統的な働き方に回帰しているでしょうか?それとも新しい方向性を模索しているのでしょうか?

ぜひ、皆さんのご意見を聞かせてください。