日本における低エンゲージメントの壁を打破する

なぜ日本の従業員エンゲージメントは低いのか?文化的な価値観、間接的なコミュニケーション、低いアサーティブネスが影響しています。自己認識とアサーティブ・コミュニケーションがエンゲージメント向上の鍵となる方法を探ります。


あなたは、エンゲージメント スコアを確認する必要があるグローバル マネージャーまたはローカル マネージャーですか? 日本のチームが他の地域のチームよりも低いランクにランクされている理由が気になっていますか。あるいは、日本が一貫して 世界で最も低い従業員エンゲージメント レベル の一部であると報告されていることをすでに認識していて、この問題に対処するための効果的な戦略を探しているかもしれません。

エンゲージメント向上のための施策を導入する前に、まず なぜ日本ではエンゲージメントが低いのか を理解することが不可欠です。

文化的背景:なぜ日本ではエンゲージメントが低いのか?

欧米諸国、特にアメリカでは、早い時期からディスカッションに積極的に参加し、意見を述べることが奨励され、ついでに授業への参加度も評価されます。そのため、授業に参加するには積極的に発言し、積極的に貢献することが必要だという自然な期待が育まれます。

一方、日本では 集団の調和(和)を重視する文化 が根強く、直接的な意見表明や議論を避ける傾向があります。しかし、近年 変化の兆し も見られます。 文部科学省は2022年に 生徒指導提要 を改訂し、「 主体的な学び」を促進する方針を打ち出しました。これにより、学生が自分の意見を持ち、発言する機会が増えています。この変化が企業文化に影響を及ぼすには時間がかかるかもしれませんが、重要な進展であることは間違いありません。

日本でエンゲージメントを向上させるためには、まず根本的なコミュニケーションの課題を理解する必要があります。 その鍵となるのが アサーティブ・コミュニケーションです。


なぜ今、アサーティブ・コミュニケーションが重要なのか?

日本の企業環境は変化しています。企業のグローバル化が進み、従来の階層的な組織構造が緩やかになりつつあり、若手社員はリーダーからの明確で 率直なフィードバックを より強く求めるようになっています。 心理的安全性 の重要性も高まり、従業員が安心して懸念を共有し、質問をし、意見を述べられるオープンな対話の必要性が強調されています。

しかし、それにもかかわらず 「アサーティブではない」傾向 は依然として強く残っています。

ヒントありました。 園田(2014) の研究によると、日本、アメリカ、中国、タイの大学生を比較した際、日本の学生が最もアサーティブ(自己主張的)ではなかった という結果が出ています。これは、日本の文化が 集団調和と階層構造 (ヒエラルキー)を重視するため、直接的なコミュニケーションが敬遠される傾向にあるためです。

この傾向は、職場においてもエンゲージメントの低下につながっています。


アサーティブでないことが職場に与える影響

以前、私がグローバル会議に参加した際、非英語圏の参加者の行動パターンが顕著に異なるのを目の当たりにしました。

  • ベルギーの同僚 は議題を論理的に整理し、明確に進行した
  • 中国の同僚 は疑問点があるとすぐに質問し、議論を活発にした
  • そして、 日本人マネージャー は、こちらから促しても終始沈黙を守っていた

会議後、その日本人マネージャーは「実は気になる点がいくつもあった」と打ち明けました。もし会議中に発言できていれば、無駄な手戻りを防げたはずです。

このように、意見を表明することへの抵抗感 が、チームのエンゲージメントや意思決定のスピード、効率性に悪影響を及ぼしているのです。


研究に基づくアサーティブ・コミュニケーション研修のアプローチ

しかし、「アサーティブに話せるようになりましょう」と単に教えるだけでは不十分です。 岸田・中尾・武田(2022) の研究によると、自己認識の高い人ほど、アサーティブな行動を取りやすい ことが分かっています。

  • 自己重要感「自分は大切な存在である」を持つ人は、よりアサーティブになりやすい
  • 自己認識が低い 人は、アサーティブなスキルを身につけても実践できない

このことから、アサーティブ・コミュニケーションの前に、まず自己認識を高めるトレーニングが必要 であることが示唆されています。

自己認識を高めるワークを導入すると、従業員は…

  • 現在の自分のコミュニケーションスタイル(受動的・攻撃的・アサーティブ)を認識できる
  • 自分が発言を控える理由(階層構造への不安、調和を乱すことへの懸念など)を理解できる
  • コミュニケーションがエンゲージメントや人間関係にどう影響するかを意識できる

また、 古谷・山本(2020) の研究では、アサーティブなコミュニケーションを促進することで、エンゲージメントが大幅に向上する ことが明らかになりました。

  • アサーティブに意見を表明できる社員は チームとの一体感を感じやすい
  • 自分の意見が尊重されることで 仕事の満足度が向上
  • 離職率の低下 につながり、社員の定着率が上がる

エンゲージメント向上のための3つのステップ

エンゲージメントの向上が目標であるなら、アサーティブ・コミュニケーションは解決策の一部として欠かせません。しかし、一律のアプローチでは効果が出ない可能性があります。代わりに、段階的なアプローチを取る方がより効果的かもしれません。

1️⃣ 文化的な背景を理解する

アサーティブなコミュニケーションが根付きにくいのは、日本の社会構造や教育システムに起因する(園田, 2014)。この前提を理解することが重要。

2️⃣ 自己認識を高める

アサーティブネスを指導する前に、まず従業員が自身のコミュニケーションの傾向や障壁について自己認識を深めることが重要です(岸田ら, 2022)。自己反省のエクササイズは、その基盤を築くのに役立ちます。あなたのチームはどれくらい自己認識ができていますか? 多くの企業では、企業のウェルネス担当者 を活用できます。彼らは、ストレスマネジメントや自己認識に関するリソースを持っている可能性があり、チームと共有することで役立つかもしれません。

3️⃣ アサーティブ・コミュニケーションを実践する

自己認識が確立された後、アサーティブネスのトレーニングでは、 職場の慣習を尊重しながらも、 よりオープンにコミュニケーションを取ることができる 実践的かつ文化に適応した手法 に重点を置くべきです(古谷・山本, 2020).

これらのステップを踏むことで、日本の組織は よりエンゲージメントが高く、コミュニケーションが活発で、自信を持った従業員を育成できるようになり、それが 企業の業績向上と健全な職場文化の醸成 につながります。


最後に

日本のチームを管理していてエンゲージメントの低さに悩んでいる場合、その原因は モチベーションの欠如ではなく、アサーティブ・コミュニケーションのスキル不足 かもしれません。根本的な課題に対処し、段階的な戦略を導入することで、従業員が安心して発言できる環境を整え、より高いエンゲージメント、強固な協力体制、そしてビジネスの成果向上へとつなげることができます。

日本のチームにおけるエンゲージメント向上に、どのように取り組んでいますか?ぜひ、コメントでご意見をお聞かせください!
チームや個人のアサーティブネスとエンゲージメント向上のためのコーチングや研修にご興味がある方は、ぜひ こちらまでご連絡ください。.


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