ようこそ、「Learning Leaders」へ!ここは、異文化間の学びとリーダーシップに関するインサイトを共有する場です。私はティムと申します。日本に30年以上住み、この20年間はラーニング&ディベロップメント(L&D)の分野でキャリアを築いてきました。
今年の卒業生は、どこかこれまでとは違う空気をまとっています。
大学生が学習し、面接に備え、将来の働き方を思い描く中で、AIが当たり前の存在になったのは、今回が初めてではないでしょうか。2026年卒の学生たちは、どの業界を目指すにしても、AIが日常業務の一部になるという前提を持ってキャリアを考えている、最初の世代かもしれません。
最近発表されたアメリカと日本の調査は、学生たちがこの状況にどう向き合っているのかを知るうえで、非常に示唆に富んでいます。ここでは、米国の 「Handshake Big Dreams, Bigger Challenges Survey」 from the U.S. and the マイナビ 2026年卒 大学生キャリア意向調査4月<就職活動・進路決定>」 を参照しています。
日米の新卒は、今どのようにAIを使っているのか
両国とも、約8割の学生がすでにAIを利用していると回答しています。アメリカの学生は、AIを「思考のパートナー」として使う傾向があります。アイデア出し、未知の分野の学習、リサーチの整理、学び方そのものの改善などです。履歴書にAI活用経験を記載する学生も増えています。一方で、不安を抱く学生も少なくありません。仕事の将来性や長期的なキャリアの安定性への懸念が繰り返し挙がり、その要因の一つとしてAIが語られることもあります。
日本の学生も、AIを積極的に活用していますが、使い方にはやや特徴があります。エントリーシートの推敲、自己分析の構造化、面接対策などに多く使われています。AIを使うことで、効率が上がり、成果物の質が高まることを実感している学生が多く、「時間を節約できる」「より良いアウトプットができる」といった声が率直に聞かれます。
一方で、日本の学生が慎重になるのは「評価」の領域です。自分の作業を支援する目的でのAI活用には前向きでも、採用プロセスでAIが評価側に入ることには強い抵抗感があります。特に、面接評価や性格判断にAIが使われる場合には、人の関与を明確に求める傾向が見られます。
異なる懸念、共通するプレッシャー
目立つのは、能力や好奇心の差ではありません。
両国の学生は、総じて慎重かつ主体的にAIを試しています。どう使うか、いつ使うか、あえて使わない判断も含めて考えています。過度な依存への不安や、公平性への懸念、そして想定より早く変化するかもしれないキャリアを選ぶことへの戸惑いも共通しています。
彼らが共有しているのは、プレッシャーです。
地盤が動き続ける中でキャリアを選んでいる、そう実感している学生が増えているのが今年の特徴かもしれません。彼らは職業に備えるだけでなく、AIとともに進化し続ける仕事に備えているのです。その変化のスピードは、時に組織の変化を上回ります。
マネージャーへの問い
もしAIが新卒にとってすでに当たり前の存在だとしたら、どこで線を引きますか。新入社員に、何を期待しますか。初日からAIを使いこなし、最大限活用することを求めますか。単純作業、ドキュメント作成、準備業務はAIに任せる前提でしょうか。では、人の判断力、創造性、責任は、どこから始まると考えますか。
多くの学生は、すでに「企業が何を評価するのか」を推測し始めています。スピードを重視すると考える学生もいれば(アメリカ)、完成度や整い方を重視すると感じる学生もいます(日本)。AIをオープンに使いすぎると逆効果になるのではと不安を抱く学生もいます。 この大きな変化の中で、あなたはチームメンバーをどのように導いていきますか。どこに線を引くのか、あるいはAIをどのようにチームに取り入れていくのか。ぜひ考えを聞いてみたいと思います。

